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設計士やハウスメーカーでさえも見落とす5つのエアコン設置の条件

2023年6月30日

夏らしい暑さになってきまして、早速エアコン関係のお仕事が増えてまいりました
こちらのブログ更新もなかなか進まないかもしれませんがご容赦ください
 
さて、住宅のプロである設計士さんやハウスメーカーでさえ、意外と見落としているエアコン設置の条件
 
エアコンなんていまどきどの部屋にでもついていてあたりまえのようになっていますが
まちのでんきやを長年やってますといろんな住宅で困難な設置条件のなかでの設置を経験しています
 
それこそお家を買われたお客さんと、ハウスメーカーや、住宅を建てた事業者とで
エアコン設置の下見など行ったときでも
 
「こうやってつけられないですかね・・・?」みたいに言ってくる住宅屋さんいらっしゃるんですよね
 
一般の方からすれば意外かもしれませんが
 
こちらからしても、「いやいや、あなた方が設計して、建てたんですよね・・・?」
 
と、言いたくなるところをコラえて、彼らの顔も立てながらエアコン設置工事の設計を行います
 
中には、これは量販店さんではやらないだろうな・・・というものや
 
実際に、ジャパネットタカタやいろんなところに依頼したわいいが、断られたという経緯で
弊社にご相談される方もいらっしゃいます
 
これはもちろん一軒家に限らず、分譲マンションのようなところで
とんでもない設計で、エアコンをどうつけるつもりなのか・・・?というマンションにも出くわしたことがあります
 
なんでそんなことになるか?というと
これはもう単純にエアコンの設置条件とかをそもそもご存知ないとしか思えないですね
どんだけ家建てていたとしても、エアコンの設置は下請け任せだったり
場合によってはエアコンはお客さんがつけるものです
としている場合なんかもあり
 
まぁ兎にも角にも、住宅メーカーからすればそんなエアコンのような末端の設備・・・
「些細なことは知ったことではない」
という姿勢のところは意外と少なくありません
 

住宅屋さんが見落としがちな設置条件

 

1室内機の設置場所

 当然のことではあるのですがエアコンの室内機が設置できる
 壁面の状態になっていないといけません
 ほとんどのご家庭で利用されるのが壁掛け式のルームエアコン
 寸法はほぼほぼ決まっていて、横寸法が約800mm で 縦寸法が300mm 80cmの30cmですね
 もちろんメーカー機種により違いはあり、東芝や富士通であれば縦寸法が250mmといった
 省スペースのものもありますし、逆に高級機種など大型なものは800mmを超える幅のものもあります
 
 いずれにせよ、おおよそこの寸法にプラス、メンテナンスのために多少の広さが必要になりますので
 横幅900mm 縦500mm 程度の壁面のスペースが必要になります
 
 ところが、最近は窓をとにかく大きくしようとかで
 エアコンのスペースが非常に限られている物件がございます
 これに加えてエアコン設置するはずの壁の裏側に雨戸などの収納スペースがあったりして
 これは一体どこにエアコンを設置するつもりですか?という設計になっていたりします
 
 ほかにも後付でお客様からの要望でつけた仕切りなどを取付けたために
 エアコン設置するはずのスペースが狭まっていて、機種を変更したケースもあります
 
 機種変更で済めばまだ軽症ですが、どうやっても取付け不可能であるとか
 取り付けるにしても非常にコストがかかるような状態では困りますよね
 中には、2階などで足場を組まないとできない・・・などと平気で言うてくる大手ハウスメーカーも存在します
 その、足場を組まないと出来ないような設計にしたのはあなたではないのですか?と
 で、あればせめて足場があるうちにエアコン工事しないといけないのでは?
 とまぁ、いろいろ突っ込みたくなるのですが
 
 彼らにとってはエアコン工事など些細なことなのでしょう
 
 これら以外にも、壁面の材質などにこだわるあまりにエアコンが設置困難であったりすることもあります
 設置するに耐えられる壁でないといけませんし、
 そもそも後述するエアコンの室外機と接続される冷媒配管のための壁面開口が困難であるとか
 いろいろ問題は発生します
 正直なところ、エアコンつけるところが決まっているのであれば、穴ぐらい先に開けておいてほしいものです
 お家にこだわりがあるのであれば、住宅屋さんの方で穴を用意しておいていただいたほうが間違いないです
 なにせこちらは、出来上がったお家の壁の中の状況はわかりません
 いろんな方法で推測したりはするものの、一切傷もつけずに出来ることはやはり限られます
 予めあけておかないにしても、せめて壁内がどうなってるかは
 建てた以上はわかっているはずなので、その構造的なものがわかるようには最低限していただきたいものです
 
 

2室外機の設置場所

 設置するのは室内機だけではありません
 敷地ギリギリまでお家の外壁があって、隣との境界が狭いなどで
 これは一体どこに室外機を置くつもりですか?
 というお家の設計もございます
 
 これについてもいろいろな金具とかなんかで
 「・・・できませんか?」というてこられることがあります
 
 いやいやいやいや、
 建てた人が今更になって、「できませんか?」じゃないでしょ・・・?と
 なぜ先に確認しないのかが、わからないんですよね
 もちろん部品メーカーとかには確認したのかもしれないですけど
 どのような質問の仕方をしたかによっても、『できる』の意味が違ってきますからね
 一番間違いないのは実際に工事をする人に聞くのが一番です
 
 室外機の設置場所で問題になりがちなのは、
 ・住宅の周囲が狭い
 ・屋根の傾斜がきつい
 ・室外機の吹き出し先に隣接家屋の窓や玄関があるなどトラブルになりかねない
 こういったことがありますね
 
 ほかにも、壁面設置金具や屋根設置金具
 二段設置金具などいろいろありますが
 いずれにせよ、金具自体もそれなりの費用がかかるうえに
 金具の取り付けにも費用がかかります
 またエアコンが故障した際の修理や、買い替えの際にもそれらのコストはのしかかります
 

3冷媒配管の経路

 室内機も室外機も設置できる
 しかし当然のことながらこれらを繋げないと意味がありません
 冷媒と呼ばれるフロンのかわりに使われる物体(液体、気体)
 これを銅管によって循環させることで冷やしたり温めたりしてるので
 冷媒の配管経路が確保されていることが最低条件になります
 ここでお話しているのは、室内機をつけて、その裏側に室外機をおいて・・・
 といったかんたんな条件であれば何の問題も考えることもありませんが
 なまじ中途半端にエアコンの知識を持ったうえで家を設計されると
 とんでもないところに室外機を置くとか
 経路が非常に複雑になってしまうとか
 それ以外にはこだわりの設計士さんあるあるなのが、隠蔽配管です
 隠蔽配管が得意な人もいれば、それを良しとする電気屋さんもおられるのですが
 私は絶対にやめたほうが良いと思っています
 隠蔽配管とは、主には外部に(あるいは室内にも)冷媒配管が見えないように
 壁面の中に冷媒配管など必要なものを予め仕込んでおいて
 住宅の外観上の見栄えをよくしようという事を目的に選ぶ手法になります
 
 しかしこの施工方法には弱点がたくさんあります
 ・配管や連絡線になにか問題が合った場合に取り替えることがほぼ不可能
 ・基本的にエアコン取付けの難易度が上がる
 ・住宅を建てる工程でしっかり仕込む工程を段取りしておかなければならない
 ・隠蔽した壁面に何らかの施工を行う際にリスクとなる(他の機器や追加配線のための開口や、棚などの追加設置や地震対策などで釘やネジといったものを壁面に打ち込む際に配管や電線を傷つける可能性がある)
 ・壁面内に水分浸潤する可能性を増やす(配管自体が冷えたり温まったりするものですから内部的には結露も発生しますので)
 
 考えられるだけでもこれらだけのデメリット・リスクが有りながら得られるメリットは見栄えしかありません
 冷媒配管用のダクトを使えば基本的にそこまで見栄えを損ねることはありませんので
 エアコンの冷媒配管はかんたんにメンテナンスできるようにしておくことがベストです
 隠蔽配管では
 何も問題ないとおもっていても問題が発生している場合もありますし
 そもそも配管や配線の寿命と住宅の寿命ではかなり微妙なところで
 先に配管や配線に問題が発生しない保証はどこにもありません
 それにそもそも、エアコンの冷媒が変わらない保証もないし
 エアコンの配管のサイズも様々ありますので
 基本的に取り替えが不能ということはエアコンの仕様上変更があった場合
 買い替えの際に問題になる可能性があります
 具体的には以前のエアコンは2分4分の冷媒配管であったが、
 新しくつけたいエアコンが2分3分の配管である場合など
 エアコンの機種を選定する上でそれらの仕様上選択肢が限られてくることになります
 
 エアコンの隠蔽配管は基本的にオススメしません。
 そもそもエアコンに限らずあらゆる機器が壊れないとかトラブルがないことを
 前提に考えるのは愚策と言わざるを得ません
 

4ドレン配管の都合

 エアコンにおいて、特に主な用途となる冷房を利用すると
 必ず発生するのが本体内の結露水です
 これはドレンホースを介して外部に排出される形になりますが
 一般的なルームエアコンにはポンプは搭載されていません
 ですので、自然に流れていく事を前提にエアコンは設置されます
 それをわかっていないと、他の条件が満たされていても
 ドレン配管の都合だけで設置不能になったり
 あるいは別付のドレン排水ポンプを取り付けることになります
 エアコンから水漏れが!といったトラブルの半数ぐらいは
 ドレン配管の問題(詰まりや勾配、またそれら複合的に)によるものだと思います
 流石に統計的なデータはありませんが
 ポンプで送り出していないということと、ドレンホースの太さや強度など
 とにかくそういった繊細な要素が絡むものなので
 時折むちゃくちゃ厳しい条件(外までの経路が非常に長い上に勾配が少ないなど)で
 エアコンが設置されているところの入れ替えを頼まれたりした時は
 断りたくなってしまいますね
 それでやって水漏れ発生させたらこちらの責任となってしまいますからね
 
 この辺でとにかくご理解いただきたいのは、
 ・エアコンのドレンホースの直径がそれほどないこと
 ・ホースの強度もたいしたことないこと
 ・ポンプで水を送り出しているわけではないこと(勾配が必要)
 
 そんなに無理が効くものではありませんし
 外部と繋がっていることもあり、細かな虫が棲み着いたりして
 ちょっとでも排出するうえでなにかが抵抗になるだけで流れなくなってしまう
 そして京都のような湿気のキツイところであればかなりの量の結露が出ますので
 結露の発生量に対して排出量がおいつかないということさえあります
 

5コンセント(電源)

 設置はできる・・・だけどコンセントがない
 もともと物置としてしか使ってない部屋であるとかではこれがあるんですよね
 古い住宅だとなおさらです
 まだこれは電気工事を行ってコンセントを追加させていただいたら良いのですが
 費用はそれなりにかかるものです
 また、コンセントがあってもエアコンに合わなければ意味がないので
 100Vか200Vか、100VでもIL型にも対応したものかどうか
 これらの条件によって、コンセントの変更、ブレーカーの変更
 といったことが必要になることもあります
 新築でも、おそらくはこちらにエアコンを付けてほしいということなんだろうな・・・
 というところにコンセントがついているんですが、その壁面にはエアコンが付けられない
 なんていうことも・・・
 別に、エアコンと同じ壁面にコンセントがないといけないということはないですから
 見栄えとしておかしくならなければエアコン設置面とちがうところにコンセントが合っても構いません
 でも、偶に中途半端なところにコンセントが設置されているケースが有ることは事実です
 

これらを考えていないと設置コストやメンテナンスコストがかかる

 
なによりこういうことなんですよね
お家を買う際はそれ自体が非常に大きな金額となるために
多少のことは『まぁいいか』となって解決されるのですが
いざ、取付け、もしくは買い替えの際に
 
「なんでそんなにお金かかるの?」
 
となるのがこうした事を考慮されていない住宅になります
 
冷蔵庫などでもよくあるのが、2階がダイニングキッチンの場合ですね
家を立てる時はどうとでもして入るのですが
買い替えるときにはクレーンが必要になった・・・とか
ベランダにルーフを追加したがためにクレーンでの入れ替えすら困難になった・・・とか
 
とにかく「まちのでんきや」目線でないと気づかれないような
しかし確実にそのときには困ったことになるということは結構あるんですよね
 
お家の購入などの際にも早め早めにお抱えの「まちのでんきや」に相談しておくと
いろんなことが全然違います
お得意さんなんかはこれをして得をしているのが事実です
 
またハウスメーカーさんや住宅供給されている業者さんで
たびたびお客様とトラブルになる・・・といったことがあるようでしたら
こうした知識やノウハウを提供することもできます
 
もちろん、その場合無料というわけには行きませんが・・・
しかし間違いなくこうした知識はトラブルを防ぎ、お客様の満足度の向上には寄与します
 
あちこちでトラブルになっている住宅ですが
設備のこと(設置条件など)を考慮していなかったというものが多いです
 
せっかくの住宅、それこそつまらないことで台無しにすることのないように
まちのでんきやを活用してみてはいかがでしょうか?
 
 
 

この記事を書いた人

西木 幸一

1983年生まれ 「まちのでんきや」の息子として小さい頃から手伝いをするなどその頃からご存知のお客様とも長らくお付き合い頂いています。そんな「まちのでんきや」の魅力や強み、でんきやならでは小ネタなど情報と、2023年から本格的に始めたゴルフの話や地元京都サンガF.C.応援したりといった趣味の情報も発信していきたいと思います。(有)ニシキ家電 取締役社長

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